牛用フロルフェニコール・フルニキシンメグルミン配合注射剤「レスフロール®」 日本における製造販売承認取得のお知らせ
ナガセ医薬品株式会社は、2018年8月3日付け(その後、MSDアニマルヘルス株式会社に承継)で、牛用フロルフェニコール・フルニキシンメグルミン配合注射剤「レスフロール®」(以下「レスフロール」)について、【効能効果】 牛:発熱を伴う細菌性肺炎 有効菌種 パスツレラ・マルトシダ、マンヘミア・ヘモリチカ 【用法用量】体重1 kg当たり本剤として下記の量を1回皮下に注射する。牛(搾乳牛を除く。):0.067~0.133mL(フロルフェニコールとして20~40mg及びフルニキシンとして1.1~2.2mg)【使用禁止期間】牛(搾乳牛を除く。):食用に供するためにと殺する前45日間として農林水産省から製造販売承認を取得しましたことをお知らせいたします。
レスフロールは、1mL 中に主剤としてフロルフェニコールを300mg、フルニキシンメグルミンを27.4mg(フルニキシンとして16.5mg)含有する注射用配合剤である。 フロルフェニコールは、米国Schering-Plough社で1979年に発見、合成されたチアンフェニコール誘導体の合成抗菌薬であり、広い抗菌性スペクトラムをもち、クロラムフェニコール耐性株にも有効で経口吸収が優れるなどの特徴を有している。
フルニキシンは、1966年に同Schering-Plough社により合成された非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAID)で、その主たる作用機序としてアラキドン代謝におけるシクロオキシゲナーゼ活性を阻害することにより、プロスタグランジンの産生を抑制することが明らかにされており、主としてこの作用により解熱・消炎・鎮痛効果を示すと考えられている。
注射剤の場合にはフルニキシンの可溶化のためにメグルミン塩の形態で製剤化されている。
牛の細菌性肺炎の治療は、抗菌薬の投与による薬物療法が行なわれ、注射剤による治療が一般的に行われている。主に使用されている抗菌薬としては抗生物質ではペニシリン系、マクロライド系、テトラサイクリン系、合成抗菌薬ではフルオロキノロン系が使用されており、フロルフェニコールはチアンフェニコールとともにその他の合成抗菌薬に分類されている。国内におけるフロルフェニコール注射剤(品名:フロロコール200注射液)の使用は既に20年が経過しているが、有効菌種(パスツレラ・マルトシダ、マンヘミア・ヘモリチカ)のフロルフェニコールに対する感受性には変動が認められていない。
牛の細菌性肺炎の治療に際して解熱・消炎作用のある薬剤を投与することの意義は、抗菌剤の投与によって原因菌を除去しても炎症自体は緩解されず食欲の改善が遅れ、体重の減少が続くことがしばしば認められることがあるためである。又、最近では細菌性肺炎による肺病変が増体量の低下を招く要因のひとつであることが報告(J.Am.Vet.Med.Assoc.1996;209:814-818)される一方で、抗菌性注射剤と併用してフルニキシンメグルミン注射剤を投与することにより肺病変面積率が低下したとの報告例がある。
以上のように、牛の細菌性肺炎の治療に際して補助療法としての非ステロイド系抗炎症剤の有用性を示す応用事例が報告されるとともに、臨床獣医の間でその有用性が評価されている。
レスフロールは、抗菌剤と非ステロイド系解熱鎮痛消炎剤を配合した牛用注射剤なので①肺および呼吸器への組織移行性が良く➁速やかに効果が表れ③感染と同時に炎症を最小限に抑制でき④薬剤耐性のリスクが非常に小さい製剤です。
MSDアニマルヘルス株式会社
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